PARTYがスタートした、クライアントや広告代理店の皆さんと直接、研究・企画・開発を行うテックスタジオ&プロダクションが「PY」。2024年の発足以来、多くの代理店様やパートナーの皆様とお仕事をさせていただき、様々なプロジェクトを世に送り出してきました。
今回のPARTY INVITESは、PYのディレクターを務めるTechnical Director / Engineerの森慶太と梶原洋平へのインタビューを通じて、「未来の体験」を社会実装するために、現在、彼らが研究・開発を行っている最新テクノロジーとビジネス展開への可能性について話を聞いていきます。
直接「PY」と仕事を進めるメリットとは?
— 以前のPARTY INVITESでは、PYが掲げる思想や実際の機能についてお話しいただきました。その後、どんなプロジェクトを実際にローンチしてきたのでしょうか?
森 慶太 / Keita Mori (Technical Director / Engineer):
おかげさまで、本当に色々な広告代理店やパートナー企業の皆様にお声がけいただき、挑戦的で刺激的な多くのプロジェクトに関わることができました。
こちらのSHOWREELを見ていただくとわかるのですが、主にXR/AR、ゲームエンジンを活用したメタヴァース、ブロックチェーンといった様々なテクノロジーを活用して、企業の展示ブースやインスタレーションから、アート/エンターテインメント領域のコンテンツ開発、新規サービスの開発まで、多岐にわたるビジネスに貢献してきました。
そして、PYとして現在、特に力を入れている領域が2つあります。
その一つが「エンターテインメント/インスタレーション」です。最近ではインドア/アウトドア問わず、ハードウェアや通信速度の向上によってフィジカルな空間でのテクノロジー活用がグンとやりやすくなってきました。後ほど詳しくご紹介しますが、AIを気軽に走らせることも可能になっていることで、「できること」は今後もますます広がっていきます。
もう一つは「デジタルサービス開発」です。前回のPARTY INVITESでもご紹介しましたが、私たちは自社サービスを含めて0→1でサービス開発を行ってきた実績と知見を多く持っています。特にPYでは、そのサービスを実現するために必要な要件整理から技術選定、デザインから実装までをワンストップでお手伝いすることが可能ですし、そのうちの一つだけを依頼いただくというような柔軟性があることも強みです。
— なるほど。直接PYと仕事をすると、具体的にどんなメリットが生まれるのでしょうか?
梶原洋平 / Yohei Kajiwara (Technical Director):
エンターテインメント/インスタレーション領域での具体例を挙げると、NTT様と直接お仕事させていただいた「”AI Constellation” x Installation Art」が分かりやすいかもしれません。
これはNTTが提唱する「AIコンステレーション」というAIモデルの概念を直感的に伝えるためのアート・プロジェクトです。NTTが研究・開発しているAIモデルは、巨大な一つのLLM(大規模言語モデル)ではなく、それぞれが専門性や個性を高めた”小さなLLM”を数多く用意して、それらを連携・議論させることで生まれる「集合知」によって社会課題を解いていこう、という独自のアプローチが特徴です。
PYではこの概念を表現するためのインスタレーション・アートの開発を担当したのですが、「AIコンステレーション」自体が複雑な構造を持っているため、誰にでも理解できるような表現に落とし込むためには、NTTさんと直接、深いコミュニケーションを取る必要がありました。PYにはエンジニアはもちろん、テクノロジーに精通したアートディレクターやデザイナー、CGアーティストが多く所属しています。なので「アート表現」という観点からも、PYの強みを出すことができたプロジェクトになりました。クライアント側の目線では、コミュニケーションコストと制作コストの両方を削減できた、と言えると思います。
森:
デジタルサービス開発の領域では、「テクノロジーを、エンターテインメントのエンジンに」というミッションを掲げるKulture様と、KLEWという新規サービスを開発しました。これは、一言で言うと「ライブのチケットを持つファンと、アーティストが直接コミュニケーションできるデジタルプラットフォーム」。
どんなサービスを作るべきか?という構想段階から、Web3のトークン機能を活用した最終的な実装までを並走させていただけたことは、さまざまな専門性を持つエンジニアからUI/UXデザイナーまで、多岐に渡るスキルを持つメンバーが揃うPYならではの強みが発揮できたプロジェクトだと思います。
「PY」が現在、研究/実践を行う注目のテクノロジーとは?
— では現在、PYが注目している最新テクノロジーについて紹介してもらえますか?
森:
はい。実際に研究/開発を進めているもので言うと、まず一つは「画像解析に関するテクノロジー」です。
一言で言うと「その画像や映像に何が映っているのか?」を認識するもので、例えば多くの人が映っている映像があったとして、人数や男女比、さらには年齢層などをリアルタイムに解析することが可能になります。この技術を活かせば、イベントやコンサートなどでお客様の年齢層や志向に合わせて違ったクリエイティブをリアルタイムで切り替えるなど、「受け手に最適化されたコミュニケーション」を実現することが可能です。
PYがXR体験を制作したCES 2024でホンダが発表したコンセプトEVのブースでは、この画像解析技術とAIを組み合わせて「来場者の眼球の動きと向き」を抽出し、それぞれの眼の動きに合わせてCGを表示。その結果、ゴーグルをつけずにXR体験をしていただくことが可能になりました。
この技術を使えば、透過スクリーンの向こう側にさまざまな情報をデジタルツイン・XRとしてユーザーに提供することが可能です。ゴーグルなども不要なので、体験コストも低く、様々な層のユーザーをターゲットとすることができます。
先ほども言ったように、通信環境やハード面の進化によって導入コストが劇的に下がっているので、フィジカル空間でもAIを気軽に活用できるようになりました。今後はより自由度が高くリッチな体験が提供できると思いますし、イベントやコンサート、展示ブースなどでいち早く導入することで、大きな話題につながっていくのではないでしょうか。
梶原:
もう一つ、「デバイスとテクノロジーを連動させる取り組み」にも力を入れています。
この「Auto Pilot LED Wall」は、360度全方向に自由に動かすことができるLEDウォールです。WHILL製のメカナムホイールを使った移動システムと、OptiTrackのモーションキャプチャシステムを使った統合ハードウェア・システムを開発しました。このシステムは既にレンタルも可能で、エンタメ領域以外にもアートや広告イベントでご使用いただけます。
実はLEDウォールだけではなく、最大積載量150kg以内であれば自由に移動・制御できるので、例えば、人を乗せてステージ上を自由に動かしたりすることも可能です。
2024年末に日本テレビ様の番組で導入いただいたのですが、失敗の許されない3時間の生放送でもスムーズに稼働できました。TV番組やライブ、演劇といったエンターテインメントの領域や、企業ブースやインスタレーションではすぐに導入可能ですし、さらにはアウトドアでも問題なく稼働できるので、「動くサイネージ」として屋外広告での活用も面白いかもしれません。
これらのテクノロジーはすでに実際の案件に活用しているものなので、いただいたご相談に合わせてカスタムメイドで調整可能なものばかりです。もしピンときたものがあれば、ぜひ気軽にご相談いただきたいですね。
「PY」の今後の活動について
— では最後に、「PY」チームの今後の展望について教えてもらえますか?
梶原:
PYとして、リアルの演者とデジタルヒューマンのパフォーマンスをリアルタイムで連動させた「METALVERSE」、RADWIMPSと仕掛けたメタヴァース・ライブ、世界に向けて活動するAwichとのプロジェクトの経験から感じているのは、やはり「エンターテインメント×テクノロジー」の領域が面白くなりそうだ、ということです。
パンデミックを経たことで、フィジカルとデジタルの世界が一気に融合した感があります。データのやり取り、通信速度の向上、AIに代表されるインフラ面の急速な進化と、YouTubeや配信が普通になったことで、フィジカルな現場とアーティスト本人の価値が相対的に上がっている現在の環境には多くのチャンスがあると思っています。
ライブ会場でのアーティスト本人のパフォーマンスを、テクノロジーの力でさらに表現としてのレベルを高めたり、会場にいない多くのオーディエンスに対してリアルタイムで届けられたり…。もしかしたらエンターテインメント・ビジネスの根幹をイノベーションするタイミングはすぐそこなのかもしれません。なので、今は野心あふれるエンターテインメント領域の方々と、ぜひ一緒に仕事をしたいですね。
森:
今まで私たちはプロジェクトのローンチを通じて、新しいテクノロジーの可能性や魅力を世の中に提示してきました。だからこそ、そこに新鮮な驚きが生まれて、伝えるべきメッセージがより多くの人に伝わると信じてきたからです。
ですが、今は「プロセス」を広く共有することによって多くのプレイヤーが関わることができ、新しいアイデアや可能性が生まれるのではないか?と考えるようになりました。なので、PYのメンバーが投稿するナレッジ共有のためのブログを始めたり、最新のテクノロジーを多くの人に実際に体験してもらうための「PY展」に向けた準備を始めています。
現在構想しているのは、一方通行のプロトタイプを展示するものではなく、あくまで「体験ベース」の展示で、体験した人との双方向の対話を通じて、そのテクノロジーの新しい可能性を見出すことができるようなものを目指しています。PYは技術に特化した集団なので、もちろんテクノロジーそのものも重要なのですが、何より大切なのは「人間がその技術をどう使うか?」だからです。
そういった思想を持ちながら、梶原からもあった「エンターテインメント/インスタレーション領域」、そして「デジタルサービスの開発」を中心に様々なプロジェクトに関わっていきたいです。ぜひ、お気軽に声をかけていただければと思っています。
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生成AI × ローグライクカードゲームという
新たな可能性を追求するプロジェクト
デンツウゲームセンターのクリエイティブチームと共に、ゲームの開発およびプロモーション映像制作を担当しました。 本作はプレイヤーが入力する言葉(誕生の詩)から、Adobe FireflyとGPT-4oを組み合わせた生成AIが、見た目・名前・スキルなどを備えたオリジナルのモンスターカードをリアルタイムで生成する革新的なゲーム体験を提供します。
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PERSOL MIRAIZ × WIRED オンライン講座に登場
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今回のPARTY INVITESはいかがでしたか?これからもPYとPARTYは、様々な”未来の体験”をつくりだしていきます。ぜひご期待ください。