PARTYの掲げるミッションは「未来の体験を社会にインストールする」こと。わたしたちが考える、その一つの柱となるのが「サービス体験」です。オンスクリーン、XR、フィジカルなどの幅広い領域で、人々の感情を動かし、その上でしっかりとビジネスに貢献するサービスのコンセプト・UI/UXデザイン・開発を行っています。
今回のPARTY INVITESでは、先日ローンチを迎えた「PICKYOU PRO(ピックユープロ)」を取り上げながら、本プロジェクトに関わったメンバーへのインタビューを通じて、PARTYが目指すこれからの時代に求められる「サービス体験」は、どのようなものになっていくのか?というテーマについて考えていきます。
「UI/UXデザイン」ではなく「サービス体験」をつくる
— PARTYが目指す「未来の体験」において、「サービス体験」は一つの大きな柱を担っているとお聞きしました。「サービス体験」づくりにおいて、PARTYの強みはどこにあるのでしょうか?
吉松 俊英 / Toshihide Yoshimatsu (Business Producer):
私たちの生活の中で、今やデジタルサービスは欠かせない存在です。ここ数年、PARTYは多くのスタートアップ企業様にお声がけいただき、広告キャンペーンやブランディングだけにとどまらず、サービス全体のコンセプトやビジネスモデル開発、UI/UXデザインといった幅広いスコープに渡ってお手伝いをさせていただく機会が増えてきました。
その流れもあり、2021年からはPARTYの中村洋基が代表を務めるスタートアップスタジオである「combo」を立ち上げ、0→1のスタートアップ起業に必要な事業アイデア/実装/PRといった全方位的な支援を行っています。
そういった実績を積み重ねていることから、多種多様な事業ドメイン、そしてシード期からレイター期まで、あらゆる規模のサービスを成功に導く知見があることは、PARTYならではの強みと言えるかもしれません。
阿久津 達彦 / Tatsuhiko Akutsu (Project Manager / Information Architect):
もう一つ挙げるとするならば、PARTYは2018年から、日本を代表するアートコレクターとして知られる株式会社スマイルズの遠山正道氏と共に「ArtSticker」というサービスを立ち上げ、今や国内有数のアートプラットフォームに成長させています。

自分たち自身でリスクを取って、ゼロベースでサービスをつくり上げることから得られる知見と経験は非常に重要で、サービスがどのフェーズにあり、どんな課題を持っているのか?その課題に対して、どんな施策や手法が有効なのか?自分たちが身を持って経験しているからこそ、クライアント目線でご相談に乗ることが可能になります。
具体的には、事前に以下のような内容をしっかりとヒアリングをさせていただき、技術選定や設計などをご提案する形が多いですね。
・サービスのビジョン/目指すゴール
・現在のサービス規模と直面している課題
・PARTYとの協業を通じて、何を達成したいのか
・導入しているSaasを含めた運用体制
少しドライに聞こえるかもしれませんが、私たちはそのサービスにフルコミットできるわけではありません。そのサービスを実際に成長させていくのはクライアント自身だからです。もちろん、インハウスからは出てこないアイデアや実装力を提供できることは私たちの強みですが、お互いにどうwin-winでサステナブルな仕組みを作れるか?どうやって一緒にそのサービスを成長させられるか?を現実的に考え、実行までしっかりと並走できるパートナーとして捉えていただくと良いかもしれません。
憧れの存在からアイテムを購入できる、特別な「サービス体験」のつくり方
— ありがとうございます。では、先日ローンチした新しいプロジェクト「PICKYOU PRO(ピックユープロ)」について教えていただけますか?
吉松:
はい。「PICKYOU PRO」は、先述のcomboからのご縁で始まったプロジェクトで、一言で言うならば「モデルやアーティストによる、プレミアムなフリマECプラットフォーム」。
クライアントの株式会社ピックユーは、すでに「pickyou」という多くのユーザーが利用しているフリマアプリを運営されていて、今回は、このpickyouをさらに発展させ、アソビシステム様をはじめとするプロのモデルやアーティストが出品するユーズドアイテムのみを扱う新サービスの開発をご依頼いただきました。
今回の一つのポイントは、クライアントに事前ヒアリングを行った上で、ECプラットフォーム「Shopify」を採用したこと。メンテナンスやコスト面のメリットを活かしながら、優れたサービス体験をどうつくり上げるか?という挑戦がありました。
竹田 和幸 / Kazuyuki Takeda (Art Director):
今回実現したかったサービス体験は「憧れの存在からアイテムを購入できる特別な体験」。なので、アートディレクションの観点では、PICKYOU PROだけの個性となる「世界観」を構築することが最も重要だと考えました。
基本的にはECサービスなので、商品が魅力的に見えなくてはいけません。そのためには、「PICKER」と呼ばれる出品者の皆さんに、自分だけのお店を持っている感覚、このサービスに出品したい!と思ってもらえるような楽しい空間をつくることを目指しました。
メインターゲットとなる若者たちが、日々インスタグラムなどのプラットフォームでワイワイ楽しんでいるコミュニケーションの感覚を、そのままPICKYOU PROの「サービス体験」に持ち込みたかったんです。
その空間をつくり出すことで、結果としてユーザーの皆さんにも「他のECサイトとは全然違うな」と直感的に感じてもらうことができる。そしてそれは、pickyouが培ってきたカルチャーの延長線上にある「個性」でもあるんです。
同時に、サービスを続けていく上で重要になってくるのは、アイテムを魅力的に見せるための「商品カット」です。しかし、一つ一つのアイテムをPARTYサイドで撮影することはスピードとコストの観点で難しい。
そこで、私たちはPICKYOU PROらしい「商品カット」の撮影キットとガイドラインを策定して、クライアント側で撮影が可能になる環境づくりを行いました。開発・デザインして納品して終わり、ではなく、これも一つの「サービス体験」を持続的に運営していく上での重要な”デザイン”だと考えています。
— それは素晴らしい取り組みですね。この「サービス体験」は、実際にどのような制作プロセスから生まれたのでしょうか?
阿久津 :
今回はプロジェクト開始からリリースまで時間がなかったこともあり、要件定義からデザイン策定までのフェーズを極力スピーディに進行するため、「コラボレーティブ・プロトタイピング」という開発アプローチを採用しました。
具体的にはFigmaというツールを使ってチーム全員が自由に閲覧できるワイヤーを作り、それを毎日触りながらディスカッションしてアイデアを出し、デザインに反映していく。そのプロセスの中で、チーム全員に自然と「ユーザー目線」が生まれていきました。
さらに、株式会社ピックユーの皆さんにも、早い段階からこのコラボレーティブ・プロトタイピングにしっかりと入っていただきながら進行できたことも大きかったと感じています。
いわゆる「クライアント」と「制作サイド」のような関係性になってしまうと、提案段階で認識のすり合わせから始める必要があるのですが、このフローを採用することで「ユーザー目線」を共通言語にしながら進行できました。さらに日々のコミュニケーションから信頼関係をしっかりと築けたことで判断基準にブレが少なく、最後までお互いにリスペクトを持ちながらローンチを迎えられました。結果として、短期間ながら多くのイテレーションを実施し、スピーディーかつ高品質なアウトプットにつなげることができたように思います。
今後の展望について
— では最後に、「サービス体験」チームの今後の展望について教えてもらえますか?
竹田 :
ここ数年で世の中がガラッと変わり、これから求められるサービスは、どのようなものになっていくのだろう?ということをよく考えます。
PARTYが目指す「サービス体験」は、細かなデザインやインタラクションの質にこだわるのは当然ですが、「人の心を動かして、ビジネスに貢献する」ことに本質があります。
私自身も、アウトプットにおいて「文化的で人間的なコミュニケーション」づくりを心がけているのですが、ユーザーがそのサービスに触れて「心が動く」ためにはどうすればいいのか?を考え抜き、その実現を目指すのが「サービスデザイン」と「サービス体験」の大きな違いなのだと思います。
いわゆる「UI/UXデザイン」の領域ではユーザー調査を必要以上に重視したり、デザイン手法に関してもメソッド化が進んでいます。ですが、それだけではサービスがどんどん同じ顔になり、効率化と引き換えに、そのサービスだけの「個性」が失われてしまいますよね。なので、PARTYでは普遍性と独自性のバランスをとても大切にしています。
言い換えれば、そのサービスが積み重ねてきたものの中に、そのサービスだけの「個性」を表現することで、人の心が動き、結果としてビジネスの成功にもつながっていくと信じているんです。だからこそ、「このサービスが世界に必要だ!」と本気で考え、熱量を持ってビジネスを推進している人たちに寄り添っていきたいですね。
阿久津 :
自社サービスはもちろん、様々なサービスのプロジェクトに携わって感じているのは、本当にサービスづくりは「総合格闘技」だなということです。
プロダクトのデザインと開発、戦略的なブランディング、運用と改善…。初期ローンチや大型リニューアルのような「派手なKOシーン」が、インパクトもあるのでバジェットの優先順位も高くなりがちですが、実は表に出づらい「寝技」のような、一見地味に思える施策がサービスにとって本質的に重要なケースも多いんです。
繰り返しになりますが、僕らの強みは「自分たちでもリスクをとって、自社サービスを成長させている」経験があること。だからこそ出来る並走の仕方があると思いますし、「こんなこと相談してもいいのかな?」と躊躇してしまう課題も、積極的にサポートしていきたいと思っています。
それぞれのサービスのフェーズに合った、様々な意思決定のそばにいられる存在になりたいですし、「クライアントが社会に提供する価値の最大化」を第一優先に考えられるパートナーになっていきたいですね。
吉松:
二人とも重複する部分がありますが、「サービス体験」づくりにおいてはクライアントのビジネスと”向き合い続ける”ことが本当に大切だと思っています。
私たちの生活の中に長く根付いていくもの。そんなサービスを一つでも増やしたい。
PARTYのイメージとして「打ち上げ花火のように目立つキャンペーンやブランディングが得意なんでしょ?」と言われることも多いのですが、僕らとしても普遍的な部分を追求していきながら、つくり手よがりにならないものを生み出すパートナーとしての実績も積み重ねてきています。
おかげさまで「PY」という優れたエンジニアやデザイナーを揃えたプロダクション領域のチーム強化も進んでいますし、より多様なリクエストにお応えできる環境が整ってきました。
もし何かお困りのことがあれば、いつでもお声がけください。ぜひ一緒に、世の中を変えるような「サービス体験」をつくっていきましょう!

モデル、アーティスト、俳優、クリエイターといった各業界で活躍するインフルエンサー、通称「PICKER」によるユーズドアイテムのみを扱うフリマサービスの開発をお手伝いしました。それぞれのPICKERが実際に愛用していたアイテムが出品され、ファンや購入者にとって価値ある「一点モノ」を手に入れることができます。
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クライアントや代理店の皆さんと直接「研究・企画・開発」を行うTech Studio「PY」が、これまで手掛けてきたプロジェクトをまとめたSHOWREELを公開しました。 これまで多くのご依頼をいただき、SHOWREELのプロジェクト以外にも、最新技術を積極的に活用してたくさんの制作を行っています。
まだアイディアが形になっていない段階からのご相談も大歓迎です。詳しくは、こちらの「PY」メンバーへのインタビュー記事をご覧ください。
今回のPARTY INVITESはいかがでしたか?
あらゆるプロジェクトにおいて「サービス体験」にこだわりながら、これからもPARTYは様々な”未来の体験”をつくりだしていきます。ぜひご期待ください。